発達障害を「生まれつき」とあきらめないで! 成人してからも脳が変容すると判明

最近マスコミで取り上げられる機会が増えた「発達障害」。国内外で多くの芸能人が発達障害を告白しています。

発達障害者支援法では、発達障害を次のように定義しています。
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「発達障害」とは、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるものをいう。
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発達障害の一つである学習障害。知的に問題はないものの読み書きが困難なディスレクシア・ディスグラフィア、単純な計算でも困難な算数障害など、さまざまな種類があります。アメリカの俳優のトム・クルーズが文字を読めないディスレクシアと公表しています。

学習障害をはじめ発達障害は、生まれつきの脳機能障害と考えられています。脳については、大脳、小脳、脳幹に分けられます。
○大脳 感情や学習、人間の精神活動などをコントロール
○小脳 運動をコントロール
○脳幹 呼吸、循環など生命活動をコントロール

文字言語の中枢は大脳(大脳皮質の頭頂葉連合野)にあり、この部分の機能が障害されていると読み書きが困難になるとされてきました。また、人間の脳は能力を学習で獲得するために適切な「臨界期」があり、臨界期を過ぎると能力の獲得が難しいという説もあります。読み書き能力については、一般に5~6歳が臨界期とされているようです。

しかし、5月24日にアメリカの科学誌『サイエンス・アドバンシズ(Science Advances)』で発表された研究論文では、成人の脳が柔軟に能力を獲得することが明らかになっています。

この調査は、30代になってから文字を読むことを学んだインド人の女性たちを対象に行われました。研究を始めたとき、女性たちの大半は母語のヒンディー語の単語を読めませんでした。しかし、6カ月の訓練の後、女性たちの識字能力は小学1年生のレベルにまで達したのだそうです。

論文の主執筆者で、ドイツのマックスプランク心理言語学研究所のファルク・ヒュッティヒ氏は「新しく言語を習得するのはかなり難しいが、その一方で、文字を読むことははるかに習得しやすいようだ。成人の脳が驚くほど柔軟であることがわかる」と述べています。

さらに、女性たちの脳で目覚ましい再編成が起きていたのは、脳幹だったのだそうです。

先に述べたように、脳幹は生命活動をコントロールしていて、「は虫類脳」とも呼ばれることがあります。つまりは、生命を維持するための本能をつかさどり、人間として考えたり言語を使ったりするのは別の部分の脳がつかさどっているとされていたのです。

脳幹の中の視床は、嗅覚以外のすべての感覚を大脳に中継しています。研究チームは、視床などに伝わる信号が増えるほど、女性たちの読字力が向上することも確認しています。論文の共同執筆者で、ドイツのマックスプランク認知脳科学研究所科学研究員のミハエル・シャイダ氏は「読者が経験を積むほど、文章を読み解く効率が高くなる理由は、これで説明できるかもしれない」とも付け加えた。

今回の研究結果で私が思ったのは、読む障害を大脳の機能障害としてあきらめる必要がないということ。日常生活を送ってさまざまな経験を積んでいけば、たとえ子どもの頃に文字が読めなかったとしても、成人になってから学習することで読めるようになっていく可能性があるでしょう。

読み書き障害のために大変な思いや嫌な気持ちを経験するかもしれませんが、どうか自分の殻に閉じこもらず、経験をプラスに生かしてほしいと願っています。

また、興味深いのが脳幹が文字を読む能力と関係しているという点です。脳についてはわかっていないことのほうがはるかに多いので、子ども時代での決めつけは禁物かもしれません。成長とともに、私たちの脳は想像以上に柔軟に変わっていくようですね。


http://www.afpbb.com/articles/-/3129539
http://www.mpi.nl/news/even-learning-to-read-in-your-thirties-profoundly-transforms-brain-networks

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