作文が壊滅的な子どもたちの親への提案 「チリツモ式」読書感想文作成術

長文は短文の集積です。当たり前のことですが……

「チリツモ式」とは、エッセイ形式の短文を足していって、原稿用紙3枚分の読書感想文を作成する方法。
亜流なので、「せっかく読書感想文を書くのだから、学校の先生に褒められたいし、賞も取りたい」という子どもには勧めません。

チリツモ式を考え出した理由は、私の子どもAが書字に困難さを抱えていて、子どもBは作文が壊滅的だからです。

書けやしない子どもに「がんばれ!」と励ましても無駄。ですから、ここ数年は根性不要で読書感想文を完成させる方法を考えてきたわけです。

書字に困難さを抱えていても、作文が壊滅的でも、数行程度ならばマトモな文章を書けます。数行の文、つまり短文ですね。
短文を論理的につなげるのは最初からあきらめて、エッセイ形式に「結果として長文といえるかも……」という文章を作り上げていこうというわけです。

チリツモ式に必要なのは、子どものパートナー。通常は親です。以下、子どものパートナーは親と表記します。

ここで紹介するミッションは親が行うもので、今年、これから私たち親子で取り組む予定です。やった作業の報告は、ブログで紹介したいと思っています。

【ミッション】子どもの読書感想文の目標を確認しよう
この夏休みの宿題である読書感想文について、子どもがどんな目標を持っているのか、確認しましょう。
とにかく終わらせたいのか、先生に褒められたいのか、賞を取りたいのか、子どもの本音を聞きます。
作文が壊滅的な子どもたちの場合、通常は「とにかく終わらせたい」ということになりそうですが……

大事なのは、親が「せっかく書くんだから、いい文章にしようよ」などと誘導しないこと。
子どもの本音を聞き出す役だと心に留めておきましょう。

子どもの目標も、親子でメモを取ります。子どもの目標に合わせて、読書感想文の書き方を選ぶといいでしょう。

「先生に褒められたい」「賞を取りたい」→読書感想文で賞をねらっている子どもたちへ
「とにかく終わらせたい」→チリツモ式
その他→「読書感想文すいすいシート」になにを書いたらいいのかわからない子どもたちへ

【ミッション】子どもの好みや趣味について話し合おう
親子で、子どもの好きな本や音楽、スポーツ、趣味、尊敬する人などを話し合います。
どうして好きなのか、理由も聞きます。
話し合った内容は、すべて親子でメモを取っていきます。

【ミッション】子どもの好みに合った本を親子で読もう
子どもの好みや趣味に合致するテーマの本を、親子で読みます。これは“「読書感想文すいすいシート」になにを書いたらいいのかわからない子どもたちへ”の場合と変わりません。

【ミッション】本の内容を親子で話し合おう
それぞれが思ったことを、話し合います。
また、本に書かれていることを親子で実際にやってみてもいいでしょう。
話し合った内容や実際にやったことは、すべて親子でメモを取っていきます。

ただし、「すごい」「感動」「よかった」「おもしろい」は別の表現に書き換えましょう。あるいは、理由を詳しく聞いて、メモに書き加えます。

【ミッション】文章の書き方と原稿用紙の使い方を確認しよう
子どもに以下のことを確認しましょう。紙に書いて、いつでも親子で確認できる状態にもしておきます。

○文の最後に句点(。)をつけます。
○文章全体で、文末を「だ・である」か「です・ます」で統一します。
○学校で習った漢字を使います。
○小さい「っ」「ゃ」「ゅ」「ょ」を忘れないように書きます。
○「お」と「を」、「え」と「へ」、「わ」と「は」を使い分けます。
○段落の最初の行は、いちばん上の一マスを空けます。
○読点(、)と句点(。)が、行のいちばん上に来ないように、前の行のいちばん最後の文字の右下に、読点と句点をつけましょう。

目につく場所に貼っておくのも手(これは「メモのポイント」ですが……)


【ミッション】本の内容を話し合って、いちばん盛り上がったことで、子どもが短文を作る
親子で本について話し合ったときにいちばん盛り上がったことで、子どもに短文を書いてもらいます。

このとき、清書用の原稿用紙を使います。
本来、いきなり清書はしません。しかし、書字に困難さを抱えている子どもや作文が壊滅的な子どもは、下書きを書き直すことがおそろしく苦痛なようです。
親は自分と同じように子どもは文を書けるのだと思わないほうがいいのだと、私自身、強く実感してきました。

そして、短文の前に小見出しをつけます。 →子どもには難しいので、やめることにしました(8月13日)。
まだ私たち親子の作業が始まっていないので、とりあえず『サピエンス全史 上』で例を書いておきます。


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○人類は数多くの大型動物を絶滅させてきた ←小見出し
 「歴史上の痕跡を眺めると、ホモ・サピエンスは、生態系の連続殺人犯に見えてくる」
 人類が数多くの大型動物を絶滅させてきたという事実を知って、ぞっとしました。200万年前に人類がさまざまな大陸に渡っていくと、その大陸に住んでいた大型動物は狩られたり、住んでいる森を焼き払われたりして、死に絶えてしまったとこの本では書かれています。私たちの祖先は、生態系に悪影響を及ぼす特定外来生物のような存在だったというわけです。
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子どもが書けたのが3行だったとしても、それでよしとして、親は「よく書けました」と努力を認めましょう。
そして、文章の書き方と原稿用紙の使い方が守られているのかを親が確認して、間違っているところは子どもに直してもらいます。

【ミッション】本の内容を話し合って2番目に盛り上がったことで、子どもが短文を作る
前のミッションと同様に、子どもに短文を書いてもらいます。

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○人類は数多くの大型動物を絶滅させてきた ←小見出し
 「歴史上の痕跡を眺めると、ホモ・サピエンスは、生態系の連続殺人犯に見えてくる」
 人類が数多くの大型動物を絶滅させてきたという事実を知って、ぞっとしました。200万年前に人類がさまざまな大陸に渡っていくと、その大陸に住んでいた大型動物は狩られたり、住んでいる森を焼き払われたりして、死に絶えてしまったとこの本では書かれています。私たちの祖先は、生態系に悪影響を及ぼす特定外来生物のような存在だったというわけです。
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○人類は、不幸な方向へと「革命」を進めてきた ←小見出し
 この本を読み進めると、気持ちが重くなってきました。狩猟採集から農耕へと「農業革命」が起こったため、人類は不自由な生活を強いられることになったとわかったからです。
 農業革命で小麦や米を栽培するようになると、人類は1カ所にとどまって、小麦や米が枯れないようにするため水をくんで来たり、雑草を取ったりしなければならなくなりました。こうした生活は、狩猟採取のために発達してきた人間本来の体の動きと合っていません。ですから、肩こりや腰痛に悩まされるようになったそうです。自由に動き回れる生活のほうが、人類はストレスが少なく、健康的に暮らせるのです。
 人類が小麦などを栽培して豊かになったのではなく、人類が小麦によって家畜化されたと書かれていたので、農業革命は結果として人類のためにはなっていないのだとショックを受けました。
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このような感じで短文を積み重ね、子どもに小さな達成感を与えながら、既定の原稿枚数という大きなゴールに到達させるのです。

短文とは、子どもにとって確実にできる課題。「短文なら、自分でも書ける」という自信を持たせ、それを繰り返すことで成功体験を積んでいきます。
また、文章の書き方と原稿用紙の使い方を繰り返し確認することにもなって、子どもへの定着を促せます。

我が家は明日からが「読書感想文デイズ」なので、チリツモ式を試したいと思います。
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