編集者歴21年のプロライターが教える小論文 こんな小論文はウンザリだ

編集という仕事では、とにかくたくさんの文章を読まなければなりません。
企画を見つけるために論文を読んだり、PR会社のリリースに目を通したり、ライターの原稿を整理したり、ほかの担当者の記事をチェックしたり……
日々、文章漬け。

ですから、悪文を読ませられると、本当にウンザリするのです。
疲れているときには、「なんだ、これは!」と怒り出すこともありました。

そんな編集者時代の経験から、小論文を採点する人は大変だと思ってしまうのです。

「てにをは」や句読点の打ち方、漢字がめちゃくちゃというのは、小論文を書く以前の国語教育の問題(ただし、読点の打ち方はけっこう難しい)。
小論文に取り組む前に、短文で訓練をする必要があります。

今回は「自分は小論文は得意なほうだ」「本を読むのが好きだし、知識はある」と思っている人向けに、「こんな小論文に読み手はウンザリ」という点を挙げていきます。


1 意味をよく理解していない言葉を使っている
ウチの息子が作文で「きずな(絆)ができました」「達成感がありました」「第三者が」などと書いたときに、私のアンテナがピンと立ちました。
「絆」「達成感」「第三者」を詳しく説明しなさいと指示すると、モゴモゴと息子は口ごもってしまいました。
そんな息子に厳しく言うのは「わからないなら、使うな」

大げさな言葉が上滑りして、なにも伝わってこない文章というのは、子どもだけでなく大人も書いてしまうケースが非常に多いのです。
そして書き手はたいてい「自分には知識がある」「書くのが得意」と勘違いしています。
その勘違いが文章からプンプンにおってきて、読み手はウンザリしてしまうのです。

2 ほとんどが受け売りである
編集者時代、ある本の著者に取材をした後、ライターが本の内容だけで原稿を上げてきたことがありました。
原稿を読んで私は思いました。
「原稿料ドロボー!!」
わざわざ著者に取材しているのに、その内容を盛り込んでいないからです。

本に書かれていることを切り貼りして原稿を作るのは、楽です。
しかし、すでに本を読んだことのある読者にとっては「なんだ、同じ内容じゃないか」と新鮮味がありません。つまりは価値がない文章なのです。

同様に、受け売りの小論文は、採点官にとっては「そんなこと、すでに知っているし……」と面白みがなく、当然、読む価値もないのです。

プロのライターでもやっている、ごくありふれた失敗なので、小論文を書く人は特に注意してほしいと思います。

3 否定から始まっている
これは私自身が就職活動で失敗した例です。
あるテレビ局の面接試験でのこと。
番組の改善点を述べてから、どのような内容にしたほうがいいのかを、私は面接官に述べてしまったのです。

面接官は内心、「ケッ、番組作りがなにもわかっていない学生のくせに」と思ったことでしょう。
私が提案したことに対しては「それをやって他局は視聴率が落ちているんだけど、知ってた?」という感じですべて否定され、当然、終了。

21年間編集者をやってきた今、その面接官の気持ちがわかります。
雑誌の記事も検討に検討を重ね、さまざまな制約の下で作っているのです。
それを知らない素人から、「つまらないから、改善したほうがいい」と言われるとムッとします。

読者や視聴者はどんどん意見を言ってもかまいません。
しかし、同じ職場で働きたいと志望している人間なら、話は別です。

面接だけでなく、小論文も同じです。
ある研究の問題点を挙げて解決策を示すのなら、生半可な気持ちで書いてはいけません。
解決策がさえわたっているうえ将来的に実現可能なものでない限り、勉強不足と思われています。

採点官をうならせる解決策が書けそうもないのなら、研究のすばらしい点を挙げて、その分野で自分は将来何をしたいのかを書く努力をしたほうがいいでしょう。

余談ですが、小学校の学級会を参観したとき、1つの提案に対し、手を挙げた子どもたちのほとんどが「それには○○という問題があります」という発言でした。
その様子を見ながら、問題点ばかり挙げて最初から否定する態度は、小学生レベルなのだと思ってしまいました。

4 繰り返しが多い
こうした原稿も、私は「原稿料ドロボー!!」と思っていました。
採点官については「原稿用紙の無駄遣い」と判断するでしょう。

5 後の文章が主題からそれている
これは「テーマが伝わらない悪文の見本」で書いたとおりです。


小論文については、自分で書いて練習しても自己満足で終わることがほとんど。
ブログのどこかで書いたと思いますが、採点官はある程度年齢が高い人たちです。
自分の親に小論文を読んでもらって、独りよがりになっていないか、読み手の気分を害するものではないか、チェックしてもらうといいでしょう。

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