「効率脳」も「跳躍脳」もそれぞれに障害を抱えている

 「なんでも早く、効率的にやってしまうというのも、実は発達障害の1つなんですよね。そういう意味で、僕も発達障害なんです」
 取材中にこのように話した医師がいました。彼は有名な医療センターで役職を持っている、いわゆる若きエリート医師です。そんな人が自身を発達障害と話したので、私は少し驚きました。

 一般的に、1つのことへのこだわりが強いため、ほかの子どもと比べて作業が遅くなってしまったり、授業などに集中できなくなってしまったりする子どもが発達障害だととらえられています。
 一方、多種類のことを効率的にこなせる子どもはまったく問題がないと考えられがちです。しかし、周囲とペースを合わせられない点では同様に障害を抱えていると言えるのでしょう。独りよがりでうまくコミュニケーションが取れず、知らぬ間に周囲に迷惑をかけたり、嫌われてしまったりする可能性もあるわけです。

 昨日のブログで、「効率脳」と「跳躍脳」について書きました。冒頭の「なんでも早く、効率的にやってしまう」のは、極端な「効率脳」タイプと言えるでしょう。

 私は、取材をした医師のようなエリートではまったくありません。ただ、なんでも早くやってしまおうする「効率脳」の持ち主という点では一種の発達障害ということで、医師に共感しました。

 私は「効率脳」だっただけでなく、子どもの頃から「早く課題を終わらせる=優秀」「締切を守る=正しい」と思い込んでいました。そのために、周囲とペースを合わせるという観点が欠落していました。
 編集者時代に、あるスタッフが「森さんってすごく早口だし、いつも仕事を早く進めたがるよね」とこぼしていたということを、間接的に別のスタッフから聞きました。私は直接意見を言いにくい「空気を読まない困った人」になっていたわけです。
 同時に、私自身、仕事が絶えず迫ってくるようなプレッシャーを受けていました。効率よく仕事をすることで自由時間が増えるのではなく、仕事がもっと増えるような感覚でした。自分なりに「優秀」で「正しい」ことをやっているつもりが、どんどん苦しくなって夜も熟睡できなかったのです。
 
 テストで高得点を上げられる「効率脳」の子どもは、しっかりして、ほうっておいても大丈夫という印象があるでしょう。しかし、あまりにも効率重視に偏っていくと、本人も気づかないうちに自分で心身にプレッシャーを与えすぎるかもしれません。また、上手にコミュニケーションが取れず、周囲と衝突する可能性もあります。

 「効率脳」も「跳躍脳」も、それぞれの強みを生かしながら弱点をカバーすることはできるはずです。まずは子どもがどちらのタイプか、どんな強みと弱点があるか知ることが大事かもしれません。
 また 子どもだけでなく大人に対しても周囲が「あの子は空気読まない」「あの人とはスピードが合わない」と排除するのではなく、「早く進めたがるから面白い」と受け止めたり、「早すぎるから軽くブレーキかけてあげよう」と手助けしたりする環境を作っていけたらいいなあと思っています。


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