ニキビはチョコレートの食べ過ぎではなく、ドカ食いを招いたストレスが原因

チョコレートの食べ過ぎと
因果関係はない
日本人の9割近くが思春期にニキビを経験し、たいてい自然に治るといわれています。

それでも治らない場合、原因の1つがニキビを気にし過ぎること。
鏡を見ながら患部を触ったり、「よく洗顔するとニキビも消える」と勘違いして強い洗浄剤で洗い過ぎたりして皮膚を刺激するので、ニキビがいつまでたっても解消しないのです。

ニキビを隠すためにマスクをつけると、あごやほおなどニキビの患部がマスクの繊維で刺激を受けます。
こうして、ニキビの悪化につながるのです。
マスクや髪でニキビを隠さないほうがいいでしょう。

思春期は、受験や人間関係のストレスで、皮脂の分泌が過剰になっている可能性があります。
ちなみに、チョコレートやナッツがニキビを悪化させるとよく言われますが、明確な因果関係はないそうです(『皮膚科専門医が教える やってはいけないスキンケア』檜垣裕子、草思社)

ですから、「大好物のチョコレートを食べ過ぎたから、ニキビが悪化してしまう」と落ち込む必要はありません。
むしろ、チョコレートをドカ食いする原因となったストレスのほうが問題です。

私は過去に、思春期に顔が真っ白に粉が吹いたような乾燥肌になったために、引きこもり状態になった男性を知っています。
強い洗浄剤を使い過ぎれば、バリア機能が低下して皮膚が乾燥します。
子どもがニキビを気にし過ぎている様子ならば、過剰な洗顔を抑制するように周囲の大人がアドバイスをしたほうがいいと私は思っています。

ニキビができる
メカニズム
皮膚に棲んでいるアクネ菌は、もともとは善玉菌の表皮ブドウ球菌と同じように、皮脂や汗をエサにして、弱酸性の脂肪酸を作り出しています。

しかし、皮脂が多過ぎると、アクネ菌の持つリパーゼという酵素が皮脂の分解を促し、遊離脂肪酸という物質が作られます。
遊離脂肪酸が皮膚を刺激し、皮膚が腫れて毛穴が小さくなります。
その結果、毛穴に皮脂やアカなどが詰まって角栓ができます。
毛穴がふさがると、中でアクネ菌が増殖して炎症を引き起こします。こうしてニキビができるのです。

皮脂は年齢や性差で分泌量が異なりますが、次の条件で過剰に分泌されるようになります。

1 ストレス
体がストレスを感じると、それに対抗するためにコルチゾールという抗ストレスホルモンが分泌されます。コルチゾールには男性ホルモンの分泌を増やす作用があり、皮脂の分泌が増えます。

2 洗い過ぎ
石けんなどで何度も顔を洗うと、体は皮脂の不足に対応するために、皮脂を過剰に分泌するようになります。

皮膚を触ったり
洗い過ぎていないかを確認しよう
大人のニキビは思春期とは違って、角層の乾燥が原因になりやすいものです。
洗い過ぎなどが原因で、角層が乾燥して縮むと毛穴も縮むので、ホコリやアカが詰まり、皮脂が毛穴の中にたまってニキビができます。

また、仕事などでイライラして知らぬ間に皮膚を触っていたり洗い過ぎたりしていないか、確認することも大切です。

炎症もないのに
皮膚をかいてしまう
映画で、名探偵が推理しているときにボリボリ頭をかきむしっているシーンが登場します。
私たちは考え事でイライラしていると、無意識のうちに皮膚をかいてしまうのです。
かく部位は、頭や顔、首など人それぞれです。

皮膚をかくことで角層がはぎ取られてバリア機能が落ちるので、炎症が起こります。
かく指がニキビを刺激すると炎症が悪化します。
皮膚が荒れている状態を自分で見るのもストレスなのですが、親など周囲の人に「いつも皮膚がガサガサだ」「きちんとケアをしてないのではないか」と言われるのは、さらなるストレスになります。

不安が
皮膚を洗う行為を招く
皮膚は心の状態の影響を受け、不安があると「なにかが皮膚にくっついていてムズムズする」と感じる場合があります。
これが「皮膚を洗う」という行為を引き起こすのです。

「強迫性障害」とは、「ドアに鍵をかけたかな」「エアコンをつけっぱなしかも」などと不安になり、自宅に戻っては確認することを繰り返すような病気です。
強迫性障害の症状として、1日に何度も、長時間にわたって手を洗い続ける「手洗い」がよく知られています。
同様に何度も顔を洗ったり、何度もシャワーを浴びたりするケースがあります。

洗い過ぎで皮膚のバリア機能が低下すると、かゆみが生じやすくなります。
そのかゆみを「なにかが皮膚についているせいだ」と勘違いして、顔や体を洗うという行為が繰り返されて、結果として炎症が起こるのです。

体を動かして
ストレスを解消しよう
自分がストレスや不安を抱えていること、そしてそれらの強度を自覚するのは大切です。
しかし、「どうしてストレスがかかっているか」「なぜ不安なのか」と原因を追求するのはお勧めしません。
過去の出来事などを記憶の中から掘り起こすことで、忘れていた嫌な体験まで思い出し、反芻して、さらなるストレスを招く可能性があるからです。

心理療法の一種として、「過去にさかのぼって、嫌な体験をした幼い頃の自分を思い描き、その自分を癒してあげましょう」というものがあります。
この療法によって、心身の状態が悪化した例は少なくありません。

私たちの記憶は、ある意味、いい加減なもので、自分の都合に合わせて書き換えられています。
ゆがんだ過去の記憶をもとに「こんな私になったのは、全部○○のせいだ!」と自己憐憫に陥り、他人や周囲の環境のせいにするので、自分から現状を変えようと働きかけません。
結果、ストレスがあるという状況は継続することとなり、心身がむしばまれていくのだと私は推測しています。

ですから、ストレスや不安の犯人を深追いせず、自分の皮膚を改善させるために今からできることを行ってください。
そのためには、体をたくさん動かしてエネルギーを消費させ、悩むエネルギーを残さないことです。スポーツでなくても自転車で遠出したり、全身を動かすゲームをしたり、どんな形でもいいのでエネルギーを体を使って発散させましょう。

東京女子医科大学の檜垣裕子教授の著書『皮膚科専門医が教える やってはいけないスキンケア』には、スキンケアだけでなくストレスと向き合うことで皮膚を改善していく具体的な方法も書かれています。
女性の場合は、思春期、社会人になった直後、更年期で皮膚トラブルが起こりやすいもの。
ニキビや乾燥肌にイライラして化粧品を片っ端から試すのではなく、心と皮膚の関係をこの本で知ることが皮膚をよくしていくかもしれません。
「スキンケアを見直すことで、自分自身の生活がより快適になること、自分をより大切にできるようになることを願っています」とこの本で檜垣教授は書いていました。




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